第63回グラミー賞にノミネートされたBTS。
授賞式が行われたのは日本時間3月15日。
発表されたときから、大きな注目を集めていたBTSのノミネート。
惜しくも受賞を逃した結果となってしまいましたが、一体なぜなのでしょうか。
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受賞逃すもグラミー賞ノミネートの快挙を達成したBTS

今回グラミー賞にノミネートされたBTSの楽曲は「Dynamite」。
「Dynamite」は、8月に配信リリースされ、アメリカのビルボードメインシングルチャート「HOT100」で1位を獲得しています。
このチャートで最後に1位をとったアジア人は1963年坂本九さんの「上を向いて歩こう」。
BTSはなんと57年ぶりの快挙です。
そんな2020年最大のヒット曲とも呼ぶべきDynamiteがノミネートされたグラミー賞は、アメリカで最も権威ある賞と呼ばれています。
2021年BTSがノミネートされた部門
年によって異なりますが、実はグラミー賞は80以上もの部門で構成されています。
特に注目されるのが主要部門とよばれる以下の4つ。
グラミー賞主要4部門
- 年間最優秀レコード
- 年間最優秀アルバム
- 年間最優秀楽曲
- 最優秀新人賞
BTSがノミネートされたのは主要部門ではなく、
「最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス」部門。
2012年に新設され、ソロ以外のデュオやグループ、コラボレーションで、ヴォーカルやパフォーマンスで功績を残した歌手に授与されます。
主要部門はありませんが、重要な部門の一つとされており、アジア人がノミネートされるのはBTSが初めてです。
BTS以外にノミネートされたアーティスト
「最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス」部門
にノミネートされた他のアーティストはこのとおり。
レディー・ガガやアリアナ・グランデ、ジャスティン・ビーバー、テイラー・スウィフトなど大物ぞろいです!
- J・バルヴィン, デュア・リパ, バッド・バニー & Tainy
『Un Dia (One Day)』 - ジャスティン・ビーバー featuring クエイヴォ
『Intentions』 - レディー・ガガ & アリアナ・グランデ
『Rain on Me』 - テイラー・スウィフト featuring ボン・イヴェール
『Exile』
そんな中でも、BTSは授賞式でのパフォーマー約20組のなかにも選ばれ、これは受賞のフラグか??とも言われていました。
しかし、今回この「最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス」を受賞したのはBTSではなく、レディー・ガガさんとアリアナ・グランデさんの『RAIN ON ME』。
過去もグラミー賞ノミネートされたBTS
実はBTSは過去にもグラミー賞にノミネートされているのです!
2016年「最優秀レコーディング・パッケージ」に
BTSのアルバム『LOVE YOURSELF 轉 ‘Tear’』がノミネートされ、プレゼンターとして授賞式に参加もしていました。
ただしこの賞は優れたパッケージデザインに対して送られるもの。
音楽賞ではありませんでした。
さらに翌年2020年の授賞式ではノミネートこそなかったものの、パフォーマーとして、ラッパーのリル・ナズ・Xとコラボしステージに立ちました。

韓国のグループとして初めてグラミー賞の舞台でパフォーマンスを披露した快挙を成し遂げ、2021年はいよいよ音楽賞にノミネート、受賞がBTSにとってもファンにとっても念願となっていました。
BTSは受賞できる?グラミー賞の選考基準

期待値が高かっただけに2021年のBTSのグラミー賞落選は大変残念です。
そこで気になるのはグラミー賞の選考システム。
いったいグラミー賞はどのような基準で受賞者は選ばれるのでしょうか?
グラミー賞は会員による投票
グラミー賞は歌手やプロデューサー、評論家などで構成されるRecording Academyの会員約1万3,000人による投票で決定します。
主要部門は全員が投票に参加しますが、その他の部門は専門分野の会員により評価、投票されます。
その審査基準は「作品のクオリティ」を評価すること。
この一点となっています。
そのため売上やチャートといった数字的なものとは関係なく受賞が決まり、2020年世界的に大ヒットしたBTSのDynamiteと言えど、結果は発表されるまで読めません。
このような状況の中ではBTSの受賞は難しいのではないか、という声もあがっていました。
グラミー賞選考のプロセスが問題視されているからです。
若年会員が少ないという問題点
Recording Academyには若い会員が少ないため、若者好みの曲が受賞しづらいと言われています。
また、カントリー分野の審査員が多く、フォークやカントリー出身のアーティストが評価されやすい傾向があると指摘されています。
そのこともあり、アイドル的なグループは敬遠されるとも。
過去には誰もが認める人気であったバックストリート・ボーイズすら受賞を逃し続けたという歴史もあります。
人種差別が問題視されている
グラミー賞は長年「白人優位」と指摘されてきました。
確かにこれほど社会に影響を与え、数々の世界的記録を達成したBTSがこれまで音楽賞にノミネートされてこなかったのは不思議であり、
大ヒットしたDynamiteをもってしても主要部門ではないというのも、おかしな話だと疑問視されています。
2020年7月の発表によると、Recording Academyの会員における人種的・民族的マイノリティはわずか25%。
この議論が活発化したのは2017年の授賞式のこと。度最優秀アルバム部門
当時9部門にノミネートされていたビヨンセ。
しかしその結果は主要部門はすべて逃し、受賞は2部門のみ。
この年最優秀アルバム部門を受賞したアデルは、「ビヨンセが受賞べきだった」とコメントしています。
ビヨンセは黒人女性だから冷遇されているのではとグラミー賞に批判があがりました。
いまだにグラミーのこの問題は解決されていないと考えるアーティストは少なくありません。
中にはノミネートを辞退し「グラミー賞永久ボイコット」するアーティストも存在します。
このような疑惑はあるものの、大きな賞にノミネートされるなどBTSは着実にアメリカ音楽業界の歴史を塗り替えています。
近い未来、BTSなら国や人種の壁を壊してくれるに違いありません。